第4段・①-4【そば打ちと日本料理の職人養成所】《捏ねる》作り方
第4段・①-4【そば打ちと日本料理の職人養成所】《捏ねる》作り方
『基本は水の入れ方なのです』
蕎麦粉と小麦粉の性質の違いにより水の入れ方
が違います。
蕎麦粉のタンパク質は、水に触れるとすぐに溶け、
膜のような防波堤を作り、水を浸み込ませない
ようにする性質あるのだそうです。
- 蕎麦を捏ねる時、一度に加水すると水を大量
にとらえた部分と、乾いた部分が出来、均一に
ならないため、延ばしたときキズになり割れる
原因で切れてしまします。
- 小麦粉は、水が浸み込むので少しくらいの
まだらな部分があっても、時間の経過で均一
になってしまいます。
うどんは捏ねてから寝かすと云うのです。
蕎麦は一度に水を入れてはいけません。
最初に三分の二ほどを入れ、両手の指先で切る
ように塊をほぐし、両手の平でやさしく粉同士
を擦りあわせて、全体が“粟粉“のような状態
にします。
残りの三分の二を同じ要領で入れますと、
「小豆粒」のようになります。
※「小豆粒」のような状態を≪ドウ≫と呼ぶ
こと「英語」があります。
水は残っていますが、これを使い切るか、
入れないかは、≪ドウ≫の少量を片手にとり
軽く握りしめてみる。
しっとりと固まり、形がくずれなければ、
加水は十分でしょう。
パラついたり、バサバサ感があるならば、
「振り水」のように直接、加水せずに全体に
振り掛けます。
※≪ドウ≫を握りしめて、ベッタリとするよう
では、水の入れ過ぎで後から蕎麦粉を足して、
堅さを調節しようとしてはいけません。
※玄人は『キラズ玉』と呼びます。
「切らずに」捨てるからです、蕎麦粉の性質
で述べたように後からの蕎麦粉は水がもらえずに
乾いたままで、固まりのなかで粘りがでない
ため切れてしまい、繋がらない原因になります。
あらかじめ「切らずに」捨てた方が良いと
いうことになるからです。
「切らず玉」を万一作りあげても、茹で揚げても
歯切れの悪い蕎麦になります。
それは「ナマ」の粉が残るためです。
加水は最後の一滴まで慎重にすることです。
しっとりとした≪ドウ≫がうまくできれば、
蕎麦作りの90パーセントは成功したようで
あります。
蕎麦店では、ここまでの工程を「水回し」と
いいます。
うどんの加水は、一度に入れても構わないです。
少しくらい粉っぽい部分があっても、寝かして
いるうちに解消します。
蕎麦の美味しさは、「水回し」と「くくり」で
ほぼ決まりです。
『木鉢3年・延し3月・包丁3日』と呼ばれる
“所以“です。
https://www.jittome-academy.jp/
https://www.maruyama-jittome.com/
信州そば手打専科・実留アカデミー
そば打ちと日本料理の職人養成所
専任講師・丸山実留